この記事では、DTMの大型な音源ライブラリのインストールについて、筆者の事例を紹介しています。
ぜひご参考にしてみてください。
はじめに
DTMにおいて、音源プラグインの入手時にインストールする音源ライブラリは、特にデータサイズが大きくなりがちです。
特に、数百GBもの大型な音源ライブラリをインストールする際には、どれくらいのストレージ容量が必要か、どのくらい時間がかかるのかなど、心配になる方も多いと思います。
本記事では、1TB近い大型ライブラリを持つ音源プラグインについて、筆者のインストール事例を紹介します。
大型ライブラリのインストールを考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
対象の音源プラグイン
今回の事例紹介の対象となる音源プラグインは、Soundsonline社が提供する「Eastwest Hollywood Orchestra Opus Edition Diamond」です。
Eastwest Hollywood Orchestra Opus Edition 公式サイト
概要
「Eastwest Hollywood Orchestra Opus Edition Diamond」は、迫力のあるオーケストラサウンドが特徴の音源プラグインです。
各種オーケストラ楽器の多様な演奏表現を収録した音源ライブラリに加え、オーケストラアレンジの自動生成機能「Hollywood Orchestrator」も付属しています。
インストール対象
「Eastwest Hollywood Orchestra Opus Edition Diamond」を使用するためにインストールが必要なソフト・データは以下の通りです。
Eastwest Installation Center
最初に、「Eastwest Installation Center」という管理用ソフトをインストールします。
このソフトを使用して、プラグイン本体や音源ライブラリのインストール・ライセンス認証を進めていきます。
通常、システム用ドライブ(WindowsならCドライブ)にインストールします。
Eastwest Opus
こちらがプラグイン本体になります。
このプラグインをDAWから起動することで、各種楽器の音源やアレンジ生成機能を読み込んで使うことができます。
こちらも、システム用ドライブにインストールします。
音源ライブラリ
音源ライブラリは、弦楽器、金管楽器、木管楽器、パーカッションなどの種類ごとにフォルダが分かれています。
また、アレンジ生成機能「Hollywood Orchestrator」のフォルダも含まれています。
合計データサイズは非常に大きく、900GB近くあります(筆者の環境では、約875GBでした)。
フォルダ名 | 内容 | データサイズ(筆者環境) |
---|---|---|
EW Hollywood Strings Diamond | 弦楽器 | 約350GB |
EW Hollywood Brass Diamond | 金管楽器 | 約188GB |
EW Hollywood Orchestral Woodwinds Diamond | 木管楽器 | 約177GB |
EW Hollywood Orchestral Percussion Diamond | パーカッション | 約70GB |
EW Hollywood Solo Cello Diamond | チェロのソロ | 約38GB |
EW Hollywood Solo Violin Diamond | ヴァイオリンのソロ | 約36GB |
EW Hollywood Harp Diamond | ハープ | 約14GB |
EW Hollywood Orchestrator | アレンジ生成 | 約57MB |
ライブラリのインストール先は自由に選ぶことができますが、高速なSSDが推奨されています。
音源ライブラリのインストール:筆者の事例
上記で説明した管理用ソフト(Eastwest Inastallation Center)とプラグイン本体(Eastwest Opus)をインストールしたのち、最後に音源ライブラリのインストールとなります。
ここでは、筆者が実際に音源ライブラリをインストールした時の様子をお伝えします。
インストール時に2倍の容量が必要
今回の対象の音源ライブラリでは、高速なSSDが推奨されていたため、筆者はNVMe対応のM.2 SSDを用意しました。
インストール前、SSDには1.57TBほどの空き容量がありました。
先程、ライブラリの合計データサイズは約900GBと説明したので、「1.57TBもの空き容量があれば余裕なのでは」と思うかもしれません。
しかし、このライブラリはインストール時に、実際のデータサイズの約2倍の容量が必要なのです。
つまり、インストールに必要な容量は、「900GB × 2 = 約1.8TB」!?
用意した空き容量1.57TBを超えています・・・。
フォルダごとに個別にインストール
ライブラリのすべてを一度にインストールしなければならない場合、確かに筆者が用意したSSDでは容量が足りません。
しかし、幸いこのライブラリは、フォルダごとに個別にインストールが可能でした。
各フォルダのインストール時、そのフォルダのデータサイズの約2倍の容量が必要、というのは変わりません。
しかし、インストールが完了すれば、一時的に使用していた領域は解放されるため、その分また容量が空くのです。
例えば、一番サイズが大きい弦楽器のフォルダでも約350GBなので、インストール時に必要な容量は「350GB × 2 = 約700GB」で、用意したSSDで十分対応できます。
そして、インストールが完了すれば、一時的に存在していたファイルは削除され、約350GBの弦楽器フォルダだけが残るということです。
そこで筆者は、多くの空き容量を必要とする大きいフォルダから順番に、インストールを進めていきました。
前のフォルダのインストールが完了するまで、次のフォルダのインストールは行わないようにします。
この方法で、無事ライブラリのすべてのフォルダをインストールすることができました!
なお、今回はすべてを同じSSD上にインストールしましたが、フォルダごとに別々のストレージに分けてインストールすることも可能でした。
多くの人が直面しそうなストレージ容量の問題を考慮し、親切設計になっていて素晴らしいと思いました。
と、以上のことは事前の調査でわかってはいたものの、やはり成功するまでは結構不安でした・・・。
所要時間
各フォルダのインストールの所要時間は、およそ以下の通りでした。
- 弦楽器(約350GB):12~13時間程度
- 金管楽器(約188GB):6~7時間程度
- 木管楽器(約177GB):6~7時間程度
- その他:データサイズに比例して所要時間も短くなっていく
すごい所要時間ですね・・・。
ネット環境やパソコン・ストレージのスペックにも依存すると思うので、ご参考まで。
ちなみに、パソコンのスリープ設定を有効にしていると、スリープ状態になったときにインストールが中断されてしまう可能性が高いので、スリープ設定は無効にしたうえで実施しました。
今回の事例を踏まえての考察など
今回の事例に限らず、大型な音源ライブラリの多くは、フォルダごとに個別にインストールできる仕様になっていることが多いと思います。
特に大手メーカーなどは、そのような親切設計で開発している場合が多いのではないでしょうか。
インストール時に一時的に必要な容量が増える場合でも、サイズの大きいフォルダから順にインストールしていく想定で、最終的にストレージ容量が足りるのであれば、理論上はインストールが可能です。
したがって、適切な手順さえ守ってインストールすれば、必要以上に大容量なストレージを用意しなくても問題ないと考えられます。
とはいえ、可能な限りストレージ容量に余裕があるほうが、より安心ではあります。
各製品のインストールに関する仕様や、ストレージ容量の推奨値の記載がないかチェックしておくことも重要です。
また、大型なライブラリはインストールに非常に時間がかかるので、余裕があるときに実施することをおすすめします。
まとめ
筆者が経験した、大型な音源ライブラリのインストール事例を紹介しました。
同じように大型な音源ライブラリのインストールを考えている方にとって、参考になれば幸いです。