この記事では、DTMのためのパソコン選びに必要な、CPUの基本知識を解説します。
ぜひご参考にしてみてください。
はじめに
DTMを始めるにあたり、パソコン選びは重要なステップです。
今回は、パソコンの頭脳であるCPU(中央処理装置)について解説します。
CPUはパソコンのパフォーマンスを大きく左右するため、DTMを快適に行うためにもCPU選びは重要になってきます。
そのため、CPUの製品の型番やスペックの見方をよく理解しておくことが重要です。
ぜひこの記事を参考にしていただけたらと思います。
CPUとは
CPU(中央処理装置)はパソコンの「脳」ともいえるパーツで、プログラムの実行やデータの処理を担当します。
DTMにおいては、高性能なCPUを搭載することで、DAWやプラグインなどのソフトの動作がスムーズになり、作業効率が向上します。
2大CPU:Intel Core iとAMD Ryzen
現在、CPUの市場では主にIntelの「Core i」シリーズとAMDの「Ryzen」シリーズが大きなシェアを占めています。
どちらの製品も、DTMにおいて広く使われていますが、それぞれ性能や型番の表記に多少の違いがあります。
性能の違い
Intel Core iシリーズは、シングルスレッド性能に定評があります。
これは、単一の処理を高速で行うことができるということを意味します。
一方、AMD Ryzenシリーズはマルチスレッド性能に定評があります。
これは、複数の処理を効率よく行うことができるということを意味します。
AMD Ryzenシリーズのほうが、「複数の処理を効率よく行うことができる」という点で優秀に思えるかもしれません。
しかし、そういうことではなく、Intel Core iシリーズとAMD Ryzenシリーズとでは得意分野が少し異なるということを意味しています。
型番の表記の違い
Intel Core iの型番表記
Intel Core iシリーズの型番は、以下の例のように表記されます。
Intel Core i7-10700K
「i7」の部分はシリーズの番号を表します。
現在i3、i5、i7、i9というシリーズが存在し、数字が大きいほど新しく、基本的に高性能なモデルになります。
ただ、注意したいのは、シリーズの番号だけでは性能を正確に把握できないということです。
そこで見るべきなのが、次の「10700」の部分です。
「10700」の先頭2桁の「10」は世代を表す数字で、数字が大きいほど性能が高くなります。
末尾3桁の「700」も性能を表す数字で、こちらも数字が大きいほど性能が高くなります。
末尾のアルファベット「K」の部分は、その他の機能や性能を表しています。
このアルファベットより前が同一の番号であっても、アルファベットの違いによって機能や性能が変わってきます。
例えば、以下のようなものがあります。
- 「K」:オーバークロック可能なモデル
- 「F」:内蔵グラフィックスが無いモデル
- 「T」:低消費電力モデル
また、アルファベットがついていないモデルもあります。
AMD Ryzenの型番表記
AMD Ryzenシリーズの型番は、以下の例のように表記されます。
AMD Ryzen 7 9700X
基本的には、Intel Core iシリーズと結構似ています。
「7」の部分はシリーズの番号を表します。
現在3、5、7、9というシリーズが存在し、それぞれがちょうどIntel Core iシリーズのi3、i5、i7、i9と同等の性能を持つシリーズといわれています。
「9700」の部分はプロセッサーナンバーと呼ばれ、やはり数字が大きいほど性能が高くなります。
末尾のアルファベット「X」の部分もIntel Core iシリーズと同様で、その他の機能や性能を表しています。
例えば、以下のようなものがあります。
- 「X」:高性能モデル
- 「G」:内蔵グラフィックスを搭載したモデル
- 「U」:モバイル向けの省電力モデル
こちらも、アルファベットがついていないモデルがあります。
CPUのスペック
基本スペックの見方
CPUのスペックは、以下のように表記されていることが多いです。
3.8GHz-5.5GHz/8コア/16スレッド/TDP65W
Intel Core iシリーズでもAMD Ryzenシリーズでも、CPUのスペックを表す数値は基本的に共通しています。
ここでは、それらの数値の意味や見方について説明します。
クロック周波数
「3.8GHz-5.5GHz」の部分は、クロック周波数というものを表しています。
クロック周波数(GHz)はCPUの動作速度を表す数値です。
クロック周波数が高いCPUは、単一のタスクを迅速に処理する能力が高いということになります。
「3.8GHz」の部分はベースクロック、「5.5GHz」の部分はブーストクロックを表します。
ベースクロックとは、通常の作業等でCPUが安定して動作しているときの基本的なクロック周波数のことです。
ブーストクロックとは、負荷がかかる作業において、性能向上のために一時的に引き上げることのできる最大のクロック周波数のことです。
コア数、スレッド数
「8コア/16スレッド」の部分は、CPUのコア数およびスレッド数を表しています。
コアとは、CPUが持つ物理的な処理ユニットで、それぞれが独立して動作します。
スレッドとは、各コアが処理できる実行単位のことで、各コアはスレッドの数だけ同時に複数の処理を行うことができます。
コア数やスレッド数が多いほど、複数の作業を同時に行う能力が高いということになります。
TDP
「TDP65W」の部分は、TDPというものを表しています。
TDP(Thermal Design Power)は、消費電力と発熱量を表す数値です。
TDPが高いほど、CPUの消費電力や発熱量が大きいということになります。
高性能なCPUほどTDPが高くなる傾向がありますが、製品にもよります。
内蔵グラフィックの有無
一部のCPUには内蔵グラフィック(内臓GPU)が搭載されています。
内蔵グラフィックが搭載されていることによって、パソコンの映像出力をすることができます。
内蔵グラフィックが搭載されていない場合、映像出力をするためにはグラフィックボードが別途必要になるため、注意が必要です。
ベンチマークスコア
ベンチマークスコアは、CPUに特定の負荷をかけた時の、処理速度や安定性などの性能を測定し、スコアで表したものです。
シングルコア性能とマルチコア性能それぞれのスコアがあり、CPUの相対的な性能差を比較する指標として用いられています。
ベンチマークスコアの比較サイト等で、気になるCPUのスコアをチェックしてみると、参考になると思います。
まとめ
DTM用のパソコン選びにおいて、CPUの性能は非常に重要です。
IntelのCore iシリーズとAMDのRyzenシリーズ、それぞれの特徴やスペックの見方を理解し、最適なCPUを見つけていただければと思います。
この記事が参考になれば幸いです。