
この記事では、OGGファイルにループタグを付ける方法と動作確認方法について解説します。
ゲーム制作などの際にご活用ください。
はじめに
RPGツクールなどを用いてゲーム制作する際、BGMをずっとループさせるために、ループタグ付きのOGGファイルというものを使うことが多いと思います。
筆者も音楽制作者として、そのようなOGGファイルを作って提供しています。
自分が作った曲であれば、ループタグを付ける箇所も割とすぐ特定できます。
しかし、ゲーム開発者の方で、「この曲いいけどループ仕様のファイルがない」となった場合は、ご自身でそのようなOGGファイルを作る必要があるかと思います(そのような改変が許可されてる音源に限りますが)。
そこでこの記事では、そのようなループタグ付きのOGGファイルの作成方法をまとめます。
また、筆者自身はゲームにOGGファイルを実装して動作確認、というところまではできないのですが、代わりにあるソフトを使って動作確認をしています。
そこで、OGGファイルのループ動作を簡単に確認できるソフトについても紹介します。
ゲームに実装する前に手軽にOGGファイルの動作確認をしたいという方も、この記事を参考にしていただけたらと思います。
ループタグの設定箇所を特定する
まず、「どうやってループタグを付ける箇所を特定するか」ですが、こちらは多くの方がコツなどを詳しく説明してくださっているようなので、詳細は割愛させていただきます。
一応参考までに、筆者が採用している方法を簡単に説明します。
※以下の方法は、テンポがずっと一定の曲であれば適用しやすいのですが、テンポが一部変化するような曲の場合は少し難しくなります。
まず、DAWに音源(オーディオファイル)を取り込み、ループの開始位置と終了位置を小節・拍単位で確認します。
※DAWを使わなくても、他の音声編集ソフトなどでも同じことができるのであれば問題ありません。


小節・拍単位で確認するのは、ループの開始位置や終了位置は、曲のどこかの小節や拍の区切りになることが多いからです(少なくとも、筆者はそのような曲を作ることが多いです)。
その後、小節・拍単位で確認したループの開始位置と終了位置について、「サンプル」という数値を確認します。


一見数字の羅列になっていてわかりにくい数値なのですが、後でループタグの設定に使うのでメモしておきます。
「サンプル」の確認方法は使うソフトによって異なりますが、基本的にあらゆるDAWや音声編集ソフトで確認できると思います。
ループタグ付きOGGの作成(Audacity)
ループの開始・終了位置の「サンプル」の値を確認できたら、ループタグ付きのOGGファイル作成に移ります。
ループタグ付きのOGGファイルを作成するために、筆者が使っているのは「Audacity」です。
おそらく一番定番のソフトかと思います。
Audacityのインストール
Audacityを持っていない方は、以下からお使いのOSに応じたインストーラーをダウンロードできます。
OSを選択すると、インストーラーとしていくつかの選択肢があり、一番上のインストーラーには「Muse Hub経由」と記載されていると思います(一番推奨されている方法のようです)。
Muse Hubは、ざっくりいうとAudacityやその他のアプリをインストールするためのポータルのようなアプリです(Audacity以外にどんなアプリがインストールできるか、筆者はよく知りません)。
そちらを選択すると、Muse Hubを先にインストールし、そこからAudacityをインストールするという流れになります。
ループタグを付ける
インストールしたAudacityを開き、対象のオーディオファイルを取り込みます(画面真ん中にドラッグ&ドロップで取り込めます)。
この時はまだ、ファイル形式がmp3やwavなど、OGG形式になっていなくても問題ありません。


※説明用に赤枠を付けています。
次に、[編集]メニューから[メタデータエディタ]を開きます。


※説明用に赤枠を付けています。
以下がメタデータエディタの画面です。
ここで、オーディオファイルのメタデータを設定することができます。
「追加」ボタンをクリックして下に行を追加します。


※説明用に赤枠を付けています。


※説明用に赤枠を付けています。
「タグ」の列に、以下の名前の2つのタグを追加します。
- LOOPSTART
- LOOPLENGTH


※説明用に赤枠を付けています。
「LOOPSTART」はループの開始位置、「LOOPLENGTH」はループ範囲の長さを決めるタグとなります。
ループの終了位置として「LOOPEND」ではなく、ループ範囲の長さとして「LOOPLENGTH」を設定するというのがポイントですね。
ここで、ループの開始位置と終了位置を特定した際にメモしていた「サンプル」の値を使います。
「LOOPSTART」の値は、もちろんループの開始位置の「サンプル」の値でOKです。
一方、「LOOPLENGTH」の値は以下のように求めることができます。
(「LOOPLENGTH」の値) = (ループの終了位置の「サンプル」の値) - (ループの開始位置の「サンプル」の値)
値が確認できたら、「LOOPSTART」と「LOOPLENGTH」のタグの右の列にそれぞれの値を入力します。


※説明用に赤枠を付けています。
入力したら、「OK」ボタンをクリックしてメタデータエディタを終了します。


※説明用に赤枠を付けています。
OGGファイルとして書き出す
[ファイル]メニューから[オーディオをエクスポート]を選択します。


※説明用に赤枠を付けています。
「どのようにエクスポートしますか?」という画面で、「コンピューターにエクスポート」を選択します。


※説明用に赤枠を付けています。
ファイル名と保存先のフォルダを設定し、形式を「Ogg Vorbisファイル」に設定します。
その下の項目は変更しなくても問題ありません。


※説明用に赤枠を付けています。
「エクスポート」をクリックすると、指定したフォルダにOGGファイルがエクスポートされます。


※説明用に赤枠を付けています。
ループタグ付きOGGの動作確認(KbMedia Player)
最後に、作成したループタグ付きOGGの動作確認方法を説明します。
筆者が動作確認に使っているのは「KbMedia Player」というソフトです。
いろんな形式のオーディオファイルに対応したプレーヤーとなっていますが、OGGファイルに設定されたループタグを認識して自動でループ再生してくれる機能を持っています。
KbMedia Playerのインストール
KbMedia Playerは以下からインストーラーをダウンロードできます。
ループタグ付きOGGの動作確認
インストールしたKbMedia Playerを開き、[演奏]メニューの[単曲リピート]にチェック、[単曲再生]に黒ポチがついている状態にします。


※説明用に赤枠を付けています。
動作確認したいOGGファイルを取り込みます(画面上部にドラッグ&ドロップで取り込めます)。


※説明用に赤枠を付けています。
ループタグの設定がうまくいっていれば、設定した範囲で曲が自動的にループされるはずです。
まとめ
以上、ループタグ付きOGGファイルの作成方法と動作確認方法について解説しました。
必要な機会がありましたら、ぜひお試しください。
ちなみに、筆者も現在フリーBGMとして、ループタグ付きのOGGファイルを配布しています。
動作確認の用途だけでも構いませんので、よろしければご利用ください。